掌編 03 孤独な男

 人と関わりたくない。けれど孤独を感じたくない。動物は嫌いじゃない。でもアレルギーのせいでペットは飼えない。そもそも仕事で留守にしがちだ。携帯電話スマートフォンのAIアシストに呼びかけてみた。俺の声が小さいのか、滑舌が悪いのか〈すみません、よく聞こえませんでした〉と返されたのが虚しくて、機能をオフにした。
 ペットロボットを検討した。期待感より別れの予感が胸中を占める。機械だと割り切れず、必要以上に感情移入するのが目に見えている。などと悩んでいたら掃除機が壊れたから、ロボット掃除機を導入してみた。勝手に床が綺麗になって楽だ。
 それに、動きを見ていると不思議と寂しさが紛れた。可愛いとすら思える。つい名前をつけてしまい──執着が生まれていることに、気づかないフリをする。再び襲いかかる別れの予感。果たして、そのときが来たらちゃんと割り切れるのだろうか。
 真っ黒な円盤はセンサーで器用に俺を避け、室内を駆け抜けていった。


初出 2020.11.08

仙台市のブックイベント「ブックハンターセンダイ」のWebイベント企画まとめ本に寄稿しました。